対談:リヒャルト・シュトラウスの作品
Aさん:当店常連様ワインとクラシック音楽好き。
店主:若い頃ヴァイオリンを習い志した。通称ピノさん。
店主若い頃・・・。
銘器1850年製 ニコラ ヴィヨーム。
ジロードン八重子さんが経営する渋谷のKOTOで証明書付きで購入。
生涯で一番高い買い物でした。
店主:リヒャルト・シュトラウスは頻繁に鑑賞します。
後期ロマン派を代表する作曲家。
また指揮者としても活躍しました。
白黒フィルムが残っていますが簡素な指揮姿です。
彼は多彩な才能を持っていたよね。
特に交響詩、オペラ、室内楽など幅広く才能を発揮した。
特に交響詩は素晴らしい。
自身の病から「死と変容」を創作。
刻々と移り変わる気持ちの描写は緻密で彫が深い。
もう完全に小説の世界ですよ・・・。
ストラヴィンスキーと同じく作風を何度か変えました。
あの時代は新旧の繋ぎ目だから悩んだと思う。
三枝成彰氏曰く、純器楽曲を得意でオペラも成功したのはモーツァルトとR.シュトラウスだけ。
そして、晩年は伝統的ドイツ音楽に回帰。
傑作「四つの最後の歌」は行き着いた孤高の頂き。
これは私的にはドイツ・リートの最後の傑作だと思う。
到底、楽劇サロメを作曲した人物とは思えない。
Aさん:彼は激動の人生でした。
ですから時代に翻弄され続けた。
二度程財産を失ったそうだよね・・・。
彼はバイエルン王国で生まれた。
そして第二次世界大戦も生き延びた。
その苦労は想像以上だよね・・・。
店主:そうですよね。
あの時代の芸術家は皆そうです。
いやいや、やはり一般庶民も含め国民全て翻弄された。
Aさん:若かりし頃の作品、ドン・ファン。
またはティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら。
これらはドイツに伝わる物語から創作された。
晩年の作品と違い湧き出る創作意欲を感じるよね。
店主:はい、そう思います。
また戦後直ぐ彼が81歳の作品、「メタモルフォーゼン」。
これまた素晴らしい作品。若い頃の作品と違い達観。
シュトラウスに限っては凡作はなく全てが傑作。
破壊された故郷を思う気持ち。
複雑に絡み解き放たれない思いが鮮明。
ワインはボーヌなんていいかもしれません。
しかも私が好きな2009年。
Aさん:四つの最後の歌にブルネロ。
天才シュトラウスの集大成・・・。
これがお見事、素直な流れで素晴らしい。
そこにはかつての技巧に富んだ作曲から脱却。
私の好きな同村南東部のカプリーリ。
私の秘蔵のブルネロ ディ モンタルチーノ。
ピノさんに勧められて購入・・・。
これ同時に数本購入したけど良かった。
2021年3月18日
最終更新日:2021-03-18