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■ Brahmsの悲劇的序曲 平行

■ Brahmsの悲劇的序曲 平行

私のクラシック音楽の楽しみの一つは、同じ作品を違う演奏家で聞き比べるワイン用語でいえば「平行」
と作品、演奏家は同じでも演奏日が違う「垂直」です。

今回は、ブラームス 悲劇的序曲を私なりに気ままに平行。

☆ レナード・バーンスタイン指揮(左)
  ウィーン・フィル
  1981年10月(ライブ録音)

☆ アルトゥーロ・トスカニーニ指揮(右)
  NBC交響楽団
  1953年11月22日(スタジオ録音)

私は、何か思いに耽けりたいときこのブラームスの作品を聴きます。
もちろん明るい作品ではありませんが、決して弱々しくもなく前向きに前進しようとする意思すら
感じるブラームスの傑作のひとつであると思います。
驚く事にこの作品とほぼ同時期、「大学祝典序曲」という正反対の作品を生み出している。
ブラームスは、この場合に限らず方向性の違う作品を同時に作曲する姿勢が度々見られる。
ベートーヴェンもこの傾向があり作曲家全般に言えることなのかもしれません。
この辺りの心理は私には理解できませんが、自然と精神的にバランス調整をしているのかもしれません。

有名な白黒写真1895年5月1日、M・フェリンガー撮影のブラームス。
顎鬚を蓄え眼光鋭い重々しい雰囲気の持ち主ですが、生まれてくる作品は決してそのようなものばかり
ではなく、美しい旋律が語りかけたり冗談を言ったり自慢気であったりと表情豊かです。
ブラームスの鑑賞ポイントのひとつはこれらの理解にあると私は思う。

バーンスタインとウィーン・フィルの相性のよさは格別だ。
指揮者とオケ双方が信頼してこその名演の実例。
ゆったいとしたテンポからスケールの大きさを感じ、この作品の暗い部分を浮き立たせる演奏。
対し、
意外と恐怖の独裁者トスカニーニ指揮は明快で憂鬱さをあまり感じさせないサラリと煙に巻く演奏。
この作品が生まれた経緯を素直に表現するバーンスタインと、戦後8年の演奏でどんな暗い時代も
長くは続かないと聴衆に伝えるトスカニーニ。
個性豊かな指揮者の解釈を楽しむのがクラシック音楽の醍醐味なのだ。

気ままに「平行」を書きましたが、クラシック音楽で「平行」「垂直」をするのが私流。

 2014年3月9日



■ Brahmsの悲劇的序曲 平行